JIS H 0609:1999 選択エッチング法によるシリコンの結晶欠陥の試験方法

JIS H 0609:1999 規格概要

この規格 H0609は、シリコーンウェーハの結晶欠陥を六価クロムを含まない選択エッチング液によって検出し測定する方法について規定。対象は,単結晶ウェーハ,エピタキシャルウェーハ及びこれらの熱酸化ウェーハで,これらの結晶面方位は,{100}面,{111}面及び{511}面の3種類とする。

JISH0609 規格全文情報

規格番号
JIS H0609 
規格名称
選択エッチング法によるシリコンの結晶欠陥の試験方法
規格名称英語訳
Test methods of crystalline defects in silicon by preferential etch techniques
制定年月日
1966年12月1日
最新改正日
2019年10月21日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

31.200, 77.120.99
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1966-12-01 制定日, 1969-10-01 確認日, 1971-10-01 改正日, 1974-10-01 確認日, 1978-02-01 確認日, 1983-10-01 確認日, 1988-12-01 確認日, 1994-01-01 改正日, 1999-11-20 改正日, 2005-01-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS H 0609:1999 PDF [16]
H 0609 : 1999

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS H 0609 : 1994は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任をもたない。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS H 0609 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
H 0609 : 1999

選択エッチング法によるシリコンの結晶欠陥の試験方法

Test methods of crystalline defects in silicon by preferential etch techniques

序文 この規格は,半導体集積回路 (LSI) は半導体用シリコン単結晶内の結晶欠陥がその性能及び歩留ま
りに大きく影響するために,規定されてきた。この結晶欠陥を検出するためのエッチング液として従来は
クロムを含む液が大量に使用されてきたが,1994年の改正において環境管理面からクロムを含まないエッ
チング液に全面転換した。しかし,このエッチング液は低抵抗単結晶には適用困難であったが,今後の半
導体集積回路には低抵抗単結晶を使うエピ基板が大量に使われることになるため,今回の改正は低抵抗単
結晶でのクロムを含まないエッチング液を追加して規定したものである。
1. 適用範囲 この規格は,シリコンウェーハの結晶欠陥を六価クロムを含まない選択エッチング液によ
って検出し測定する方法について規定する。対象は,単結晶ウェーハ,エピタキシャルウェーハ及びこれ
らの熱酸化ウェーハで,これらの結晶面方位は, [{100}] 面, [{111}] 面及び [{511}] 面の3種類とする。
備考 ウェーハの種類は,次による。
a) 単結晶ウェーハ 単結晶のスライス,ラップ及び鏡面ウェーハ。
b) エピタキシャルウェーハ エピタキシャル成長したウェーハ。
c) 熱酸化ウェーハ a)の鏡面ウェーハ及びb)のウェーハを高温酸化したウェーハ。
上記の各ウェーハは抵抗率によって適用する選択エッチング液が異なり,0.02 地 讚
抗率のウェーハには4.3b)の選択エッチング液(I)を,0.02地 下の低抵抗率のウェーハには4.3c)
の選択エッチング液(II)をそれぞれ適用する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,その
最新版を適用する。
JIS K 8355 : 1994 酢酸(試薬)
備考 ISO 6353-2 : 1983, R1相当
JIS K 8541 : 1994 硝酸(試薬)
備考 ISO 6353-2 : 1983, R19相当
JIS K 8550 : 1994 硝酸銀(試薬)
備考 ISO 6353-2 : 1983, R28相当

――――― [JIS H 0609 pdf 2] ―――――

2
H 0609 : 1999
JIS K 8819 : 1996 ふっ化水素酸(試薬)
備考 ISO 6353-3 : 1987, R67相当
JIS K 8913 : 1996 よう化カリウム(試薬)
備考 ISO 6353-2 : 1983, R25相当
3. 用語の定義 この規格で用いる用語の定義は,次による。
参考に括弧内にASTM F 1241 : -95 Standard Terminology of Silicon Technologyと対応する英訳用語を示し,
内容の整合を図った。
a) 転位 (dislocation)格子欠陥の一種。結晶の滑りを起こした領域とすべらない部分の境界線を転位線
と呼ぶ。転位線は,結晶内で閉じているか,又は結晶表面に達している。ウェーハ表面に達している
転位線は,選択エッチングによってエッチピットとして観察できる(写真1参照)。またスリップに起
因する転位をスリップ転位と呼ぶ(写真14,21,26参照)。
転位の配列から生じる小傾角粒界。この角度は,結晶の一部ともう一つの他の
b) リネージ (lineage)
部分との方位差であり,1分以下の範囲で変動する。選択エッチングでは,転位の配列は線状に並ん
だピットとして観察できる(写真2参照)。
結晶の一部がその結晶形を保った形で,結晶の他の部分と相対的なせん断変位を起
c) スリップ (slip)
こす塑性変形の過程。せん断変位は,特定の結晶面で特定の方位方向に起こる。シリコンでは [{111}] 面
で [{110}] 方向に滑りが起こる。選択エッチングでは,平行に並んだ直線状の転位ピットの列として観
察できる。表面が [{111}] 面の場合は,これらのピット列は他の列と60°で交差し [{100}] では90°で
交差している(写真3及び写真4参照)。
d) 成長じま (striation)選択エッチングすると目視で渦巻状の模様として見られるしま。100倍程度に
拡大して見ると連続的な,しま模様である。抵抗率の局部的変動を伴って現れ,回転する固液界面に
生じる周期的結晶化現象によるものとされている。また,これはドーパント濃度,格子間酸素又は意
図せずに混入された不純物濃度の周期的変動を反映している(写真4参照)。
選択エッチングすると目視で見られる渦巻状,又は同心円状の模様。100倍程度
e) スワール (swirl)
の倍率で見るとピットの不連続な並びである(写真5参照)。
f) 結晶格子面の原子の積み重ね順序がくい違っている面状欠陥。ウェー
積層欠陥 (stacking fault : SF)
ハ内の既存のものと,酸化によって発生する酸化誘起積層欠陥 (oxidation induced stacking fault : OSF)
がある。欠陥面は, [{111}] 面に平行に挿入されるために,選択エッチングすると方向性をもった棒状
の溝として見られる。[{111}] ウェーハでは3方向に,[{100}] ウェーハでは直交した方向に配列してい
る(写真6,11,13,15,17,19,22,24参照)。
エピタキシャル層の場合は,基板表面の汚染や構造的欠陥によってエピタキシャル層の成長ととも
に積層欠陥も成長し,[{111}] 面上では選択エッチングによって1個,2個又は3個の側面をもつ正三
角形のように見える。[{100}] では正方形,又は直角の二辺若しくは一辺だけが見られる(写真7参照)。
選択エッチングした表面で倍率200倍以上の顕微鏡で見られる小さ
g) シャローピット (shallow pits)
な底の浅いピット。表面の金属不純物汚染などが原因である(写真8参照)。
h) 析出物 (precipitates) シリコンの格子の中に入り込んでいるシリコン酸化物領域。選択エッチング
すると倍率100倍以上の顕微鏡では,エッチピットとして見られる(写真9参照)。
i) 内部微小欠陥 (bulk micro defect : BMD) ウェーハ内部の転位や積層欠陥,析出物などの微小欠陥。
ウェーハを通常 [{110}] 面でへき開し選択エッチングしたときに,へき開面上に倍率100倍以上の顕微

――――― [JIS H 0609 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
H 0609 : 1999
鏡によって見られる微小欠陥(写真10参照)。
j) 無欠陥層 (denuded zone : DZ) 熱処理によってシリコン中の格子間酸素を外方拡散させ,表面近傍
に低酸素濃度層を作り析出などの発生が押さえられた層(写真10参照)。
写真1 エッチピット(スリップ誘起)
写真2 リネージとエッチピット FZ結晶 D液 10min.
写真3 スリップ

――――― [JIS H 0609 pdf 4] ―――――

4
H 0609 : 1999
写真4 成長じまとスリップ誘起積層欠陥とピット
写真5 スワール [{100}] ,左半分A液4min,右半分ライト液4min.

――――― [JIS H 0609 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS H 0609:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 0609:1999の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称