JIS K 2010:1993 規格概要
この規格 K2010は、自動車エンジン油の粘度分類について規定。
JISK2010 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K2010
- 規格名称
- 自動車エンジン油粘度分類
- 規格名称英語訳
- Engine oil viscosity classification
- 制定年月日
- 1993年3月1日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO/DIS 10369:1990(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 75.100
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 石油 2020
- 改訂:履歴
- 1993-03-01 制定日, 2002-05-20 確認日, 2006-10-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS K 2010:1993 PDF [17]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 2010-1993
(ISO/DIS 10369)
自動車エンジン油粘度分類
Engine oil viscosity classification
日本工業規格(日本産業規格)としてのまえがき
この規格は,ISO/DIS 10369 (Engine oil viscosity classification) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変
更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で下線(点線)を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。
1. 粘度分類 表1に示したSAE粘度グレードは,レオロジーの観点によるエンジン油の分類を示す。こ
こでは,その他の潤滑油特性については考慮されていないかあるいは含まれていない。
この規格設定の目的は,エンジン製造業者が自社製造エンジンに推奨するエンジン油の粘度グレードを
決定したり,エンジン油製造業者が自社製品の品質設計や表示に役立たせることである。
表1には,Wの記号が付いたもの及びWの記号が付いていないものの2系列の粘度グレードで規定し
ている。Wの記号が付いたエンジン油の粘度グレードは,低温粘度,ポンプ限界吐出温度(以下,BPTと
いう。)及び100℃動粘度で分類し,それぞれの値を表1に示している。Wの記号が付いていないエンジン
油の粘度グレードは,100℃の動粘度だけで分類している。
マルチグレード油は,Wの記号の付いたグレードの低温粘度及びBPTが表1の条件を満たし,Wの記
号が付いていないグレードの100℃動粘度が表1の規定の範囲内にあることを示す。
1.1 低温(粘度特性)−低温粘度は,附属書Aで規定する操作に従って測定する。
この操作は,ASTM D 2602(コールドクランキング・シミュレータを用いた低温におけるエンジン油の
見掛け粘度試験方法)の温度範囲を拡大したものであり,その結果はmPa・s(絶対粘度)で表示される。
この方法によって測定した粘度は,低温クランキング中に生じるエンジンスピードと相関関係があること
が見出だされている。
BPTは,エンジン油のポンプ入口に油を流し込み,エンジン作動の初期段階に適切な油圧を得るための
オイルの流動能力の尺度である。SAE OW, 20W及び25Wのエンジン油のBPTは,ASTM D 3829(小形回
転式粘度計によるエンジン油のポンプ吐出し限界温度の測定方法)又はCEC L-32-T-82(ブルックフィー
ルド粘度計を用いたエンジン油のポンプ吐出し限界温度測定方法)によって測定する。結果は,摂氏温度
で示される。
SAE 5W, 10W及び15Wのエンジン油のポンピング粘度は,ASTM D 4684(低温におけるエンジン油の
降伏応力及び見掛け粘度試験方法)の操作によって測定する。この操作では,小形回転式粘度計を用いて
試料を規定の冷却(いわゆるTPI)サイクルによって冷却した後の降伏応力,又は降伏応力が存在しない
状態における粘度のどちらかを測定する。この冷却サイクルは,エンジン油が短期間(2日間又はそれ以
下)の冷却の後に,実走行中にポンピングトラブルを起こしたとされる幾つかのSAE 10W-30やSAE
10W-40のエンジン油に対し,油に欠陥があると予測されている。これらの実走行中のトラブルは,エンジ
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ン油の過剰な降伏応力及び/又は高すぎる見掛け粘度を招くゲル構造を形成することが原因していると考
えられている。
SAE 5W及び15Wのエンジン油に対するASTM D 4684法の意義性は,SAE 10Wのデータからも説明で
きる。しかしながら,限られた試験研究でも,エンジン油の中には,この方法で得たBPT限度に適合して
いるかもしれないが,J300に以前に規定されている安定流動点の規定は満たさないものも示されている。
こうした測定上の問題を解決する試みとして,ASTM D 4684法及びその他のベンチテストで試験研究が継
続されている。この試験研究の継続は,安定流動点(附属書B)によってエンジン油の特性を継続して確
認することが必要であることを示している。
低温においては,エンジンのクランキング及び始動並びにエンジン油の流入が重要であるから,冬季間
にエンジンを作動させるための油の選択には,予想最低外気温だけではなく,エンジンのクランキング及
び始動させるために適切な粘度の両方が必要である。
参考 J300とは,SAE規格番号のことである。
1.2 高温(粘度特性)−100℃におけるエンジン油の粘度は,ASTM D 445(透明及び不透明な液体の動
粘度試験方法)によって測定し,その結果はセンチストークス(動粘度)で表示される。そのようにして
測定された動粘度は,通常のエンジン作動温度において使用するための適切な粘度の油を選択する際の指
針として役に立つ。
高温高せん断粘度は,高温エンジン性能と関係するレオロジカルパラメータとして広く受け入れられて
いる。とりわけ,厳しい運転条件の下で高せん断応力をうける内燃機関部品(例えば,メイン及びコネク
ティングロッド・ベアリング)における有効な粘度を示すものと一般に広く知られている。このことを考
慮して幾つかのエンジン製造業者では,自社製造エンジンに適切な高温高せん断における粘度限界を採用
しているところもある。エンジン油の製造に際しては,表1の規定のほかにこうした要件についても考慮
すべきである。そのような粘度を測定するには,ASTM D 4624(高温,高せん断速度における毛管粘度計
による見掛け粘度試験方法),ASTM D 4683(高温,高せん断速度におけるテーパ・ベアリング・シミュ
レータによる粘度試験方法)及びCEC L-36-T-84(ラベンフィールド粘度計を用いた高せん断速度の条件
下における潤滑剤の粘度測定方法)などの測定方法を用いてもよい。
1.3 表示(分類グレード)−大部分の潤滑油は,最低一つはWグレードの粘度要件を満たしているであ
ろう。しかしながら,歴史的な慣習との整合から通常,あらゆるニュートン油 (Newtonian Oil) は,単一
グレードの油として表示されるかもしれない。エンジン油の中には,マルチ粘度グレードの製品にする目
的のために,ポリマー(粘度指数向上剤)を使って製造されるものもある。こうしたエンジン油は非ニュ
ートン粘性であり,適切なマルチ粘度グレード(W及び高温グレードの両方)によって表示する。各W
グレードは,最高粘度及び最高BPTを基に規定されているから,一つの油が一つ以上のWグレード規定
を満たすことは可能である。Wグレード又はマルチ粘度グレードのどちらかのエンジン油を表示する場合
は,規定を満たした最低のWグレードだけをラベルに記載してもよい。したがって,SAEグレード10W,
15W, 20W, 25W及び30の規定を満たしたときは,SAE 10W-30グレードとだけ表示しなければならない。
J300の低温部分を設けた目的は,エンジン油の粘度がエンジンをクランクさせるために十分低いか否か
を確認することであり,この粘度は更に,エンジン始動後油が流動するために十分低くなければならない。
したがって,クランキング時の粘度が,Wグレードを設定するための第1の基準である。特に,エンジン
油は,クランキング時の粘度で定めた規定を満たす最低のWグレードのBPTに合致するか又はそれ以上
でなければならない。BPTによって定義付けられたWグレードがクランキング時の粘度規定を満足する
最低グレードよりも高い場合,その油は,この規格に合致せず,したがって使用には不適当である。
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エンジン油の中で,2サイクル・エンジン用は,一般に,燃料との混合を補助するためにあらかじめ希
釈されている製品もある。そのようなエンジン油を分類する粘度グレードは,希釈する前のエンジン油の
粘度によって決定しなければならない。希釈されたエンジン油に粘度グレードを表示する場合は,常にそ
の粘度グレードは希釈する前のエンジン油について表示している旨を容器に示すべきである。
表1 エンジン油のSAE粘度グレード
SAE 規定温度 (℃)にお
ポンプ吐出限界 100℃の動粘度(c)(d)
ける最大粘度(a)
粘度グレード 最大温度(b) mm2/s [{cSt}]
mPa・s [{cP}] (BPT) ℃ 最小 最大
0W 3 250 (−30℃) −35 3.8 −
5W 3 500 (−25℃) −30 3.8 −
10W 3 500 (−20℃) −25 4.1 −
15W 3 500 (−15℃) −20 5.6 −
20W 4 500 (−10℃) −15 5.6 −
25W 6 000 (− 5℃) −10 9.3 −
20 − − 5.6 9.3未満
30 − − 9.3 12.5未満
40 − − 12.5 16.3未満
50 − − 16.3 21.9未満
60 − − 21.9 26.1未満
注(a) 附属書Aを参照。
(b) AE 0W, 20W,及び25Wに関しては,ASTM D 3829又はCEC L-
32-T-82; SAE 5W, 10W及び15Wに関しては,ASTM D 4684(また附
属書Bも参照。)
(c) STM D 445
(d) エンジン製造業者の中には,150℃及び106s−1において測定された粘
度に限度を設けることも推奨する向きがある。
備考 1mPa・s=1cP, 1mm2/s=1cSt
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附属書A
コールド・クランキング・シミュレータを用いた
−40℃から0℃のエンジン油の見掛け粘度試験方法
A1. 適用範囲
A1.1 この試験方法は,−40℃0℃の間で高せん断速度におけるエンジン油の見掛け粘度を試験室で測定
する方法について規定する。その結果は,エンジン油のエンジン・クランキング特性に関連している。
A1.2 この方法は,ASTM D 2602“コールド・クランキング・シミュレータ(以下,CCSという。)を用い
た低温における自動車エンジン油の見掛け粘度試験方法”(1)を拡張したものである。ASTM D 2602は特に,
−28.9℃,−18℃及び−17.8℃における測定に用いるために開発された。
注(1) STM Book of Standards, Part 24。
A2. 参考文献
A2.1 CRCレポートNo.409(2)“0°F及び−20°Fにおけるエンジン油の特性を予測するための試験室設置
粘度計の評価”,1968年4月発表。
A2.2 ベンチテスト結果と比較した市販の“W”グレード・エンジン油に関するエンジンのポンプ性能及
びクランク性能試験,R. M. Stewart, ASTM STP-621−S2(3)。(また,SAE Publication SP-429においてSAE
ぺーパ780369としても公表されている。)
注(2) 219 Perimeter Center Parkway, Atlanta, CA 30346にあるCoordinating Research Council Inc. から入
手することができる。
(3) 1916 Race Street, Philadelphia, PA 19103にある米国材料試験協会 (ASTM) から入手することが
できる。
A3. 試験方法の概要
A3.1 固定子内部に近接して設置した回転子を,ユニバーサルモータによって動かす。
少量の試料を,試験温度に保った回転子と固定子との間の空間に満たす。回転子の速度は,試料の粘度
の関数である。校正曲線及び試料について測定した回転子の速度から,試料の粘度を求める。
A4. 意義及び用途
A4.1 この試験方法を確立するため用いられるCRC試験油の範囲は,−17.8℃において6008 400mPa・s
から,−28.9℃において2 00020 000mPa・sをカバーする。
A4.2 この試験方法によって測定された見掛け粘度と,Coordinating Research Council(以下,CRCという。)
L-49試験によって測定されたエンジン・クランキング性能との詳細な関係については,ASTM D
2602-67T(4)の附属書I及びIIIに示す。
また,CRCレポートNo.409(2)も併せて参照すること。CRC L-49の試験は,この方法よりもより標準化
されておらず,また,より精密さに欠けることに注意することが重要である。更にまた,この方法によっ
て得た見掛け粘度値は,平均的なエンジンの結果との相関関係は十分であっても,個々のエンジンにおけ
るエンジン・クランキング粘度を正確に予測することはできないかもしれないことを認識すべきである。
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A4.3 17種の市販の合成油及び鉱油(SAEグレード5W, 10W, 15W及び20W)が,−40℃から−1℃までの
温度におけるエンジンのクランキング性能とコールド・クランキング・シミュレータとの関係を求めるた
めに使用された(A2.2参照)。
A4.4 この試験方法は,エンジン油のエンジン・クランキング特性との関連を求めるために単独で開発さ
れたために,この試験で得た見掛け粘度値は,その他の種類のエンジン油の性能を予測するために用いら
れるべきではない。例えば,低温におけるロッカーアーム・ベアリング又はその他のエンジン部分への流
量を予測する目的には,この試験方法は適していない。
注(4) 1967年,1968年,1969年版ASTM Book of Standards, Part 17。
A5. 用語の定義
A5.1 粘度−適用されるせん断応力とせん断速度の比率のこと。場合によっては,粘性係数と呼ばれるこ
ともある。したがって,これは液体の流動抵抗の尺度である。SI単位においては,粘度の単位はパスカル・
秒で表されるが,実際的に使用する場合は,ミリパスカル・秒がより便利である。センチボアズは1mPa・
sであり,慣習的に使用されている。
A5.2 ニュートン油 (Newtonian Oil) 又はニュートン流体−あらゆるせん断速度において一定の粘度を示
す油又は流体。
A5.3 非ニュートン油又は非ニュートン流体−せん断応力やせん断速度が変化すると,異なった粘度を示
す油又は流体。
A5.4 見掛け粘度−ここに規定した試験方法によって測定した粘度。多くのエンジン油は,低温において
は非ニュートン性であるから,見掛け粘度はせん断応力又はせん断速度によって変化する。
A5.5 校正油−試験油の見掛け粘度の測定に使用する特定の装置の速度指示計の読みと粘度を確定するた
めに用いることのできる,粘度既知の油。校正油は,ニュートン流体であり,−5−35℃の温度において
1 60013 000mPa・s [{cP}] の範囲を持つ市販製品を手に入れることができる(5)。
A5.6 試験油−この試験方法によって見掛け粘度を測定する試料油。
注(5) .O. Box16, State College, PA 16801にあるCannon Instrument Co. から入手することができる。
A6. 試験装置
参考 この試験方法に準じた自動試験器を用いてもよい。(ただし,本試験方法によって得られた結果
との間に有意差がないことをJIS Z 8402(分析・試験の許容差通則)によって確認して用いる。
なお,自動試験器で得られた試験結果に疑義が生じた場合には,この試験方法で得られた結
果による。)
A6.1 固定子内部の回転子を動かすユニバーサルモータと回転子の速度を示す速度指示計から成るCold
Cranking Simulator : CCS(5)。図1を参照のこと。
A6.2 固定子の内部表面の近くの挿入口に挿入して用いる,校正済みサーミスタ,熱電対又はその他の温
度センサ(5)。この装置は試験温度を表示する。
A6.3 固定子に適切な冷却液を供給し,適切な方法で,冷却液を要求する必要な温度に維持する循環シス
テム(6)。
――――― [JIS K 2010 pdf 5] ―――――
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- ISO/DIS 10369:1990(MOD)
JIS K 2010:1993の国際規格 ICS 分類一覧
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