JIS K 3600:2000 バイオテクノロジー用語

JIS K 3600:2000 規格概要

この規格 K3600は、バイオテクノロジー分野で用いる用語について規定。

JISK3600 規格全文情報

規格番号
JIS K3600 
規格名称
バイオテクノロジー用語
規格名称英語訳
Biotechnology -- Vocabulary
制定年月日
1989年2月1日
最新改正日
2015年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

01.040.07, 07.080
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1989-02-01 制定日, 1994-06-01 確認日, 2000-01-20 改正日, 2006-03-25 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
ページ
JIS K 3600:2000 PDF [58]
K 3600 : 2000

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人バイオインダストリー (JBA) /財
団法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を改正すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日本工業規格(日本産業規格)である。これによって,JIS K 3600-1989
は改正され,この規格に置き換えられる。

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS K 3600 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
K 3600 : 2000

バイオテクノロジー用語

Biotechnology−Vocabulary

1. 適用範囲 この規格は,バイオテクノロジー分野で用いる主な用語について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年(又は発行年)を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの
規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年(又は発行年)を付
記していない引用規格は,その最新版(追補を含む)を適用する。
JIS K 3610 : 1992 生体工学用語(生体化学部門)
JIS K 3611 : 1995 生体工学用語(生体システム部門)
3. 用語の分類 用語は次のように分類する。
3.1 基礎事項
a) 一般的事項
b) 酵素,タンパク質工学
c) 微生物,微生物工学
d) 動物細胞,植物細胞,細胞工学
3.2 基礎技術
a) 培養,培養工学
b) 細胞融合
c) 遺伝子操作,遺伝子工学
d) 一般的操作
e) 器具・装置
3.3 応用技術
a) 発酵
b) バイオリアクター
c) バイオインフォマティックス
d) バイオレメディー
e) その他
4. 定義 用語及び定義は次のとおりとする。
備考1. 二つ以上の用語を並べた場合は,その順位に従って優先使用する。
2. 用語を特定分野に限定して用いる場合には,用語の次に丸括弧書きで記す。例えば,固定化

――――― [JIS K 3600 pdf 2] ―――――

2
K 3600 : 2000
(生体触媒の)
3. 用語の定義の中で丸括弧を付けた部分は,詳細な説明をするためのものである。
番号 用語 ふりがな 対応英語 定義
1101 アーサス現象/ Arthus
あーさすげんしょ 感作動物の皮内に抗原を注射したときに,免疫複合体により
う/
アルチュス現象 phenomenon/ 起こされる炎症反応。即時型反応 (immediate-typ reaction)
Arthus reaction
あるちゅすげんし よりは遅れるが,遅延型反応 (delayed-type reaction) よりも早
ょう くみられるので,アレルギー反応の第3型 (acutetype reaction)
とよばれることもある。
1102 artefact
あーてぃふぁくと
アーティファク 実験又は処理の過程で起こった人工的変化。極限的な研究,
ト 初期の電子顕微鏡像などについてよく現れていた。
1103 RNA/リボ核酸 ribonucleic acid
あーるえぬえー/ D−リボースを糖成分とする核酸。アデニン,グアニン,シ
りぼかくさん トシン,ウラシルが塩基成分のほとんどを占めるが,他にチ
ミンをはじめ様々な微量塩基を含むものがある。
1104 RQ/呼吸商 あーるきゅう/ respiratory CO2呼出量とO2吸収量との比。ガス分析で求められる量で,
こきゅうしょう quotient 体内でどの栄養素が酸化されてエネルギー源となっているか
を知るための指標となる。
1105 アガロース あがろーす agarose 戀
寒天の主成分 (70%) で, 愀
(1→4) -D-galactosyl- (1→4)
-L-3,6-anhydrogalactoseを単位とする多糖。冷水には溶けない
が熱水に溶ける。濃度0.52%の溶液で作ったゲルは巨大網
状構造をもち,高分子でも自由に拡散できるので,免疫沈降
法,電気泳動の支持体として用いる。
1106 アクチン あくちん actin 細胞骨格を構成する主要な球状たん白質の1つ。筋収縮,原
形質流動などの細胞運動に関与している。(分子量約42KDa)
1107 アジュバント あじゅばんと adjuvant 免疫系を刺激して,抗原に対する免疫応答を修飾する物質の
総称。通常,抗体産生や細胞性免疫の強化に用いられる。り
ん酸アルミニウム,フロイントアジュバントなどがある。
1108 あぽとーしす/
アポトーシス/ apoptosis/ 生理的条件下で細胞自らが積極的に引き起こす細胞の死。細
プログラム死 ぷろぐらむし programed cell 胞は萎縮し,細胞の内容物が細胞外に放出されることなく周
death 囲の細胞に速やかに取り込まれて処理されるので炎症を引き
起こさない。
1109 アミノ酸 あみのさん amino acid 同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物。た
だし,たん白質の構成アミノ酸の場合にはプロリン,ハイド
ロキシプロリンのようなイミノ酸もアミノ酸として取り扱
う。
1110 アミノ酸残基 aminoacid residue
あみのさんざんき ポリペプチドの構成単位で,ペプチド結合する際に除かれた
−H,−OH以外のアミノ酸部分の総称。したがってたん白質
やペプチドのなかでは,N,C両末端以外のアミノ酸はすべ
て同様のアミノ酸残基の形で存在する。残基とは結合のとき
に除去される原子団以外の基という意味。
1111 アミノ酸組成 amino acid
あみのさんそせい たん白質やペプチドに含まれるアミノ酸のmol量比を試料の
composition 分子量がはっきりしないときは量比をmol%で示す。アミノ
酸組成からそのたん白質の概略の性質を推定できる。
1112 アミノ糖 あみのとう amino sugar 糖の水酸基がアミノ基で置換された構造をもつ化合物の総
称。天然界では多糖,糖たん白質,糖脂質の構成分や抗生物
質の成分として存在する。
1113 懿 ヘリックス
あるふぁーへりっ 愀 helix たん白質やポリペプチドが示す二次構造の1種でら旋状に伸
くす
びた構造。Glu,Met,Ala,Leuは ックスを形成しやす

い。シート状の構造をもつートと対応する。
1114 愀
ェトプロテ あるふぁふぇとぷfetoprotein電気泳動的に愀 ロブリン領域にくる胎児性たん白質。分子
イン ろていん 量約70KDaの1本のポリペプチド鎖よりなり,約4%の糖を
含む。一時,肝細胞癌及び卵黄のう(嚢)腫瘍の特異的診断

――――― [JIS K 3600 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
K 3600 : 2000
番号 用語 ふりがな 対応英語 定義
法として注目されたが,正常人血清中にもわずかにその存在
が知られ,特異的診断法としての意義は,少し薄らいだ。
1115 アルブミン あるぶみん albumin 動植物細胞,体液中に含まれる硝酸アンモニウム50%飽和溶
液に可溶なたん白質の総称。分子量は64KDa程度である。等
電点は56のものが多い。代表的なものとして,血清アルブ
ミン,オボアルブミンなどがある。
1116 アレルギー あれるぎー allergy 感作動物にもう一度その抗原が入った場合に起こる強い免疫
反応。抗体の関与する即時型アレルギー,感作Tリンパ球が
関与する遅延型アレルギーとアーサス現象がある。
1117 アレルゲン あれるげん allergen アトピー又はアレルギーを起こす物質の総称。
1118 アロステリック (1)酸素の基質結合部位とは異なる部位とエフェクター物質
allosteric effect
あろすてりっくこ
効果 うか との結合による酵素分子の構造変化に伴う酵素活性の正若し
くは負の変化。
(2)たん白質との結合によって,その高次の構造に変化が生じ
る現象。
1119 angiotensin
あんじおてんしん
アンジオテンシ 血中に含まれ,血圧や体液調節に関与するペプチド。I II III
ン の三種類あり,Iは昇圧作用があり,IIは昇圧作用とアルドス
テロン分泌作用があり,IIIはIIの半分の昇圧作用と等価のア
ルドステロン分泌作用がある。
1120 イオノフォア いおのふぉあ ionophore 細胞膜又は人工脂質膜に作用して,イオン透過性を高める働
きをする物質。イオンと疎水性の複合体を作り,膜の疎水性
領域を通過することによってイオンの透過性を高める。バリ
ノマイシン,モネンシンなどの抗生物質が知られている。
1121 いおんぽんぷ/
イオンポンプ/ ion pump/ 細胞膜を通してイオンを選択的に輸送するたん白質複合体。
イオンチャンネ ion channel/
いおんちゃんねる 能動輸送 (active transport) をポンプ,受動輸送 (passive
/いおんゆそう
ル/イオン輸送 ion transport transport) をチャンネルという。能動輸送はイオンポンプなど
のように膜内外の電気化学的ポンテンシャルの勾配に逆らっ
て輸送される現象。受動輸送には輸送体を介さない拡散と輸
送体を介する促進拡散 (facilitated diffusion) がある。
1122 異化作用 いかさよう catabolism/ 物質代謝において,化学物質をより簡単な物質に分解する過
dissimilation 程。異化作用で放出される化学エネルギーはATPに移されい
ろいろな生物活動に利用される。
1123 いき値 いきち threshold value 作用を起こせる最小有効値。生体に作用を及ぼす物質の作用
限界点を示すのに用いられる。致死いき値,刺激いき値など
という。
1124 育種 いくしゅ breeding 微生物や動植物において,野生又は既存の株や系統・品種を
用い,従来のものよりも遺伝的に優れたものを育成すること。
交配,誘導変異に加えて,遺伝子操作が用いられる。
1125 異数体 いすうたい heteroploid ある生物種において,その種に固有の基本数の倍数(その種
が単相であれば半数)より一個若しくは数個多いか,又は少
ない染色体数をもつ個体。異数体は細胞分裂の異常によるも
のと考えられている。
1126 一次構造(たん
いちじこうぞう primary structure
たん白質におけるアミノ酸の連結している配列順序及びジス
白質の)/アミ
(たんぱくしつ (of protein) / ルフィド結合の存在位置を含めた一次元的な全共有結合構
ノ酸配列 amino acid
の)/あみのさん 造。この構造はその構造遺伝子であるDNA上の塩基配列に
はいれつ sequence よって一義的に定まっている。たん白質の高次構造は基本的
に,その一次構造によって規定されると考えられる。
1127 一代雑種 first filial
いちだいざっしゅ ある対立遺伝子について,各々は全く同一の遺伝子組をもつ
generation が互いに異なる対立遺伝子組をもつ両親の間の交雑によって
生じた子。F1で表すことがある。雑種に両親よりも優れた形

――――― [JIS K 3600 pdf 4] ―――――

4
K 3600 : 2000
番号 用語 ふりがな 対応英語 定義
質が現れること(雑種強勢)を利用した育種に応用される。
1128 interferon
いんたーふぇろん
インターフェロ リンパ球や繊維芽細胞など様々な細胞が生産し,抗ウイルス
ン 懿 拿
作用や抗ガン作用などを示す生理活性たんぱく質。
愀 戰
の主要サブタイプがあり,生理作用の違いから,
桔 癘 もある。
1129 インテイン いんていん intein タンパク質が自己触媒作用によって成熟タンパク質になる際
に切り出されるタンパク質の領域。
1130 えくそときしん
エクソトキシン exotoxin 細菌が生産し,菌体外に容易に放出される毒性物質。ジフテ
リアトキシン,ボツリヌストキシンなどの高分子たん白質は
熱に不安定で,毒性が強い。
1131 SOS修復/ SOS repair/
えすおーえすしゅ DNAが傷害を受けたときその傷害部位を越えてDNA複製を
SOS機能 うふく/ SOS function 行って修復する機構。エラーがち修復 (error-prone repair) と
えすおーえすきの もいい,変異を伴うことが多い。特定の修復機構で修復でき
う ないような傷害を修復するための緊急機構と考えられる。
1132 HLA/ human leukocyte
えっちえるえー/ すべての有核細胞表面上に表現されているヒトの主要組織適
人白血球抗原 antigen
ひとはっけっきゅ 合抗原。その遺伝子は,ヒト第6染色体短腕上に密に連鎖し
うこうげん て存在する。移植抗原,免疫監視機能,免疫応答の遺伝的制
御,ある種の難病の発症に関与している。
1133 H鎖/重鎖 えっちさ/ H-chain/ 免疫グロブリン分子を構成する2種類のポリペプチド鎖のう
じゅうさ heavy chain ち,長い方の鎖。一次構造の特徴から可変部と定常部からな
る。
1134 F因子 えふいんし F-factor/ 大腸菌の性決定因子。F因子は伝達性のプラスミドの1種で,
fertility factorF+菌の線毛を媒体としてF−菌と接触,接合してプラスミドゲ
ノムを伝達する。F因子が大腸菌の染色体に組み込まれると
Hfr菌となり,接合伝達のときF因子に隣り合う染色体DNA
を,一定方向で受容菌に移入できる。
1135 LAL/カブトガえるえーえる/ limulus カブトガニの白血球の溶解成分を原料とする試薬。エンドト
ニの血球溶解成 amebocyte
かぶとがにのけっ 戀
キシン, 1→3) -D-グルカンを検出,又は定量するために調
分 lysate
きゅうようかいせ 製された。
いぶん
1136 L鎖/軽鎖 えるさ/けいさ L-chain/ 免疫グロブリン分子を構成する2種類のポリペプチド鎖のう
light chain ち,短い方の鎖。一次構造の特徴から可変部と定常部からな
る。
1137 塩基性たん白質 basic protein
えんきせいたんぱ 等電点がアルカリ性側にあるたん白質。アルギニンやリジン
くしつ などの塩基性アミノ酸の含量が酸性アミノ酸に比べて多い。
ヒストン,プロタミン,リゾチームなどが代表例である。
1138 塩基対 えんきつい base pair 核酸の塩基のうち定まった組合せの2個が水素結合によって
対合したもの。DNAではアデニンとチミン,グアニンとシト
シン,RNAではアデニンとウラシル,グアニンとシトシンが
対合する。核酸の複製,転写,mRNAとtRNAの相互作用に
重要な役割を果たす。
1139 塩基配列 えんきはいれつ base sequence 核酸分子鎖においてヌクレオチドの連結している順序。遺伝
情報はこれによって定まっている。
1140 エンドサイトー endocytosis
えんどさいとーし 細胞膜を介する外界からの物質取込み作用の総称。細胞膜は
シス す 小胞を形成し,これがリゾチームと融合する。膜成分は最終
的に細胞膜に復帰すると考えられている。
1141 endotoxin
えんどときしん/
エンドトキシン グラム陰性細菌の菌体成分中にある毒性物質。その本体はリ
/ ないどくそ ポ多糖で,発熱,インターフェロン誘導活性を示す。
内毒素
1142 オリゴ糖/少糖 oligosaccharide
おりごとう/しょ 210個程度の単糖分子が脱水縮合した構造をもつ物質。天

――――― [JIS K 3600 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS K 3600:2000の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 3600:2000の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称