JIS Z 8116:1994 自動制御用語―一般

JIS Z 8116:1994 規格概要

この規格 Z8116は、鉱工業における自動制御用語に関して一般に用いる用語及び定義について規定。

JISZ8116 規格全文情報

規格番号
JIS Z8116 
規格名称
自動制御用語―一般
規格名称英語訳
Automatic control -- Vocabulary -- General
制定年月日
1972年5月1日
最新改正日
2019年10月21日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

25.040.40, 73.020
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1972-05-01 制定日, 1976-03-01 確認日, 1979-03-01 確認日, 1984-07-01 確認日, 1989-02-01 確認日, 1994-12-01 改正日, 2000-06-20 確認日, 2005-03-20 確認日, 2009-10-01 確認日, 2014-10-20 確認日, 2019-10-21 確認
ページ
JIS Z 8116:1994 PDF [14]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8116-1994

自動制御用語−一般

Automatic control−Vocabulary−General

1. 適用範囲 この規格は,鉱工業における自動制御に関して一般に用いる主な用語及び定義について規
定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS Z 8103 計測用語
2. 分類 用語の分類は,次による。
(1) 全般
(2) システム
(3) システムの構造表現
(4) 制御方式
(5) 制御系の構成
(6) 信号
(7) 動特性表現
(8) 制御動作
(9) 特性
(10) 応答
(11) 制御パラメータ
備考 制御方式の用語に関連した制御動作,制御パラメータは,(4)制御方式に含めた。
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。
なお,対応英語を参考として示す。
備考1. 一つの用語欄に,二つ以上の用語がコンマで区切って併記してある場合には,記載の順位に
従って優先使用する。
2. 用語欄で,用語の下の丸括弧内の仮名書きは読み方を示す。

――――― [JIS Z 8116 pdf 1] ―――――

2
Z 8116-1994
(1) 全般
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1-1 制御 control
ある目的に適合するように,制御対象に所要の操作を加え
ること。
備考 目的としては,制御対象の特性を改善すること,
その特性の変動を相殺すること,外乱など制御
対象に外部から加わる好ましくない影響を相殺
すること,制御量を目標値に近づけること,又
は追従させること,などがある。
1-2 補償 (1) 制御対象の特性を改善すること。 compensation
(2) 制御対象に加わる好ましくない影響を相殺すること。
1-3 調整 adjustment
量・状態を一定に保つか,又は一定の基準に従って変化さ
せること。
1-4 チューニング tuning
制御系又は制御ループが,望ましい特性又は応答を示すよ
うに,補償要素・制御装置のパラメータの値を調節するこ
と。
1-5 同定 identification
モデルの構造(伝達関数・差分方程式などの形)をあらか
(どうてい) じめ定めておいて,システムの入出力データに基づいてそ
のモデルに含まれるパラメータの値を決定すること。
備考 モデリングの一つの段階として位置付けられ
る。
1-6 モデリング model (l) ng
システムの解析及び制御系設計のために,対象システムの
特性を記述すること。
備考 モデリングには大きく分けて,次の二つの方法
がある。
(1) システムの内部構造を,科学的な知識に基づい
て解析してシステムの変数間の関係式を導き,
パラメータを実験や実データから決定する。
(2) システムをブラックボックスとみなし,その入
出力データの観測値から統計的手法などによっ
てモデルを形成する。
1-7 計測 measurement science
特定の目的をもって,事物を量的にとらえるための方法・
手段を考究し,実施し,その結果を用い初期の目的を達成
させること。
1-8 モニタリング, monitoring
システムの機能,又は稼働状況の正常性を注視したり,記
監視 録したりすること。
1-9 計装 instrumentation
対象とするシステムの運転及び管理を具現するために,対
象システムの計測,制御,管理方法などの方法を検討して,
制御及び監視のための装置を装備すること。
(2) システム
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2-1 系, 所定の目的を達成するために要素又は系を結合した全体。 system
システム
2-2 線形系 linear system
入力,状態又は出力の関係が,線形方程式で記述される系。
備考 特性が時間的に変化する時変線形系があるが,
時間的に変化しない時不変線形系を単に線形系
ということが多い。
2-3 非線形系 nonlinear system
入力と出力との関係が非線形である系。すなわち,入力と
(ひせんけいけい)状態との関係,又は状態と出力との関係の少なくとも一方
が非線形方程式で記述される系。

――――― [JIS Z 8116 pdf 2] ―――――

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Z 8116-1994
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2-4 集中定数系 lumped parameter
時間を独立変数とし,有限個の状態変数成分で記述される
(しゅうちゅうて 系。すなわち,状態方程式が常微分方程式である系。 system
いすうけい)
2-5 分布定数系 distributed parameter
時間を独立変数とし,無限個の状態変数成分を必要とする
(ぶんぷていすう system
系。すなわち,状態方程式が偏微分方程式である系。例え
けい) ば,時間と場所とを独立変数としてもつ系。
2-6 確率系 確率的な不確かさが伴う系。 stochastic system
2-7 離散事象系 discrete event system
離散的な事象が間欠的に生起し,それに伴って状態が離散
的に遷移する系。
(3) システムの構造表現
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3-1 ブロック線図 block diagram
システムを構成する要素間の信号伝達による結合関係を
表現する線図。
備考 要素をブロックと呼ばれる四角形で,信号をそ
の伝達の向きに合わせた矢印で,信号の分岐を
引き出し点で,加減算を加え合わせ点で表す。
3-2 信号伝達線図, signal flow graph
変数相互間の影響関係を表現する重み付き有向グラフ。
シグナルフローグ 備考 変数を節点で表し,変数xから変数yへの伝達
ラフ 関数がGyxであるときに,x節点からy節点へ向
かって,Gyxを重みとする重み付き有向枝を設け
る(重みGyxをトランスミッタンスと呼ぶことが
多い。)。変数yは,節点yへ向かう枝のそれぞ
れについて始端の変数に枝のトランスミッタン
スを乗じたものの和として与えられる。
3-3 ボンドグラフ bond graph
構成要素がエネルギーの流れで結合されているシステム
の構造を表現する線図。
備考1. エネルギーの流れ,すなわちパワーをボンド
と呼ばれる線分で表し,パワーの分岐及び合
流を2種類の接点で表す。
2. ボンドにはパワーの伝達方向を規定する矢印
及び変数の入出力関係を表すストロークと呼
ばれる記号が付加される。
3-4 ペトリネット Petri net
非同期的,並行的に進展する事象相互間の因果関係を表現
する線図。
備考 条件(局所状態)をプレース,事象をトランジ
ションと呼ばれる記号で表し,事象発生の前提
となる条件のプレースから,その事象のトラン
ジションへ矢印(枝)を,トランジションから
はその事象発生の結果として生じる条件のプレ
ースへ矢印を設ける。条件が充足されているこ
とはプレースにトークンと呼ばれるマークを置
いて表し,トークンの移動によって事象の進展
が表現される。

――――― [JIS Z 8116 pdf 3] ―――――

4
Z 8116-1994
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3-5 マークフローグラ mark flow graph
ペトリネットにおいて,シーケンス制御系をモデル化する
フ 際の便宜を考慮して,幾つかの拡張と制約を導入した線
図。
備考 プレースでトークンの追突が生じないようにト
ークンの移動が制約され,また,外部の状況に
応じて事象の発生を制御できるように,許可枝
及び抑止枝という拡大機能をもつ矢印が用いら
れる。
(4) 制御方式
番号 用語 定義 対応英語(参考)
4-1 手動制御 直接又は間接に人が操作量を決定する制御。 manual control
4-2 自動制御 制御系を構成して自動的に行われる制御。 automatic control
4-3 開ループ制御 open-loop control
フィードバックループがなく,制御量を考慮せずに操作量
を決定する制御。
4-4 フィードバック制 feedback control ;
フィードバックによって制御量を目標値と比較し,それら
御, を一致させるように操作量を生成する制御。 closed-loop control
閉ループ制御 備考 制御量をそのまま目標値側にフィードバックす
る場合には,単一フィードバックという。
4-5 フィードフォワー feedforward control
目標値,外乱などの情報に基づいて,操作量を決定する制
ド制御 御。
4-6 カスケード制御 cascade control
フィードバック制御系において,一つの制御装置の出力信
号によって他の制御系の目標値を決定する制御。
4-7 二自由度制御 two-degree-of-freedo
一つのフィードバック制御に関して,例えば目標値から制
m control
御量への伝達関数,外乱から制御量への伝達関数,検出器
に入る雑音から制御量への伝達関数というように何種類
もの伝達関数が考えられ,これらの中の二つの伝達関数を
独立に調整することができる制御方式。
4-8 多変数制御 multivariable control
複数の制御入力と複数の制御量との間に相互干渉がある
系において,制御入力をまとめて操作することによって,
複数の制御量を同時に制御する制御方式。
4-9 非干渉制御 decoupling control ;
複数の制御入力と複数の制御量との間に相互干渉がある
non-interacting control
系において,一つの制御入力の影響が一つの制御量だけに
及ぶようにする制御方式。
4-10 分散制御 distributed control ;
制御対象に分散的に配置された複数の制御装置による協
調的な制御。 decentralized control
4-11 階層制御 制御系が階層的に構成されている分散制御。 hierarchical control
4-12 定値制御 目標値が一定の制御。 set-point control
4-13 追従制御 変化する目標値に追従させる制御。 follow-up control ;
備考 追値制御ともいう。 tracking control
4-14 比率制御 二つ以上の量の間に,ある比例関係を保たせる制御。 ratio control
4-15 サーボ系 変化する目標値に追従させるフィードバック制御系。 servo system
備考 元来,物体の位置,方位,姿勢,力などの力学
量を制御量とし,目標値の任意の変化に追従す
るように構成された制御系であるが,追従制御
を主な目的として構成された制御系を指すこと
も少なくない。
4-16 予見制御 preview control
目標値及び外乱の未来値があらかじめ分かっている場合
に,その情報を利用して現時点での操作量を決定する制御
方式。

――――― [JIS Z 8116 pdf 4] ―――――

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Z 8116-1994
番号 用語 定義 対応英語(参考)
4-17 予測制御 predictive control
目標値,外乱,又は制御対象の出力などの未来値の予測情
報に基づいて,現時点での操作量を決定する制御方式。
4-18 最適制御 optimal control ;
制御過程又は制御結果を,与えられた基準に従って評価
し,その評価成績を最も良くする制御。 optimum control
4-19 ロバスト制御 robust control
制御対象の特性に多少の変動があっても,制御系全体が不
安定にならず,制御性能の劣化が少ないという強健性を考
慮して設計された制御。
備考 通常,パラメータの固定された制御装置によっ
てこれを実現する。
4-20 サンプル値制御 sampled-data control
制御系の一部にサンプリングによって得られた間欠的な
信号を用いる制御。
4-21 ディジタル制御 digital control
目標値,制御量,外乱,負荷などの信号のディジタル値か
ら,制御演算部でのディジタル演算処理によって操作量を
決定する制御。
4-22 プログラム制御 program control
あらかじめ定められた変化をする目標値に追従させる制
御。
4-23 ファジイ制御 fuzzy control
ファジィ推論演算を行って操作量を決定する制御方式。
備考 ルールベース制御に比べて滑らかな制御が可能
であり,広い意味での非線形制御に入る。
4-24 シーケンス制御 sequential control
あらかじめ定められた順序又は手続きに従って制御の各
段階を逐次進めていく制御。
4-25 ルールベース制御 rule-based control
制御対象の実際的な運転知識・経験などを,コンピュータ
で処理できるルール形式で表現し,コンピュータでこれら
のルール群を用いた推論を行うことで,操作量を決定する
制御方式。
備考 代表的なものとしては,“もし (IF) ···ならば,
(THEN) ···である”という,IF-THENルール表
現を用いた推論によって操作量を決定する
IF-THENルールベース制御がある。結果として
可変構造制御的な動作をするので,非線形制御
に入る。
4-26 非線形制御 nonlinear control
少なくとも一つの非線形演算要素を制御演算部に含む制
御方式。
備考1. 非線形演算要素とは,その入出力関係が線形
演算では得られない演算要素である。例えば,
出力が入力の開平演算又は二次以上の高次関
数演算によって与えられるような演算要素を
いう。
2. 代表的なものとして,ゲインスケジューリン
グ制御,厳密な線形化を用いた制御,可変構
造制御などがある。
3. ファジィ制御,ルールベース制御も推論演算
部では非線形演算を行っているので非線形制
御に入る。

――――― [JIS Z 8116 pdf 5] ―――――

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JIS Z 8116:1994の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8116:1994の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ8103:2019
計測用語