JIS K 0131:1996 X線回折分析通則

JIS K 0131:1996 規格概要

この規格 K0131は、X線回析装置を用いて回析X線を測定し,これによって物質の固定・定量,格子定数の精密測定,結晶化度の測定などを行う場合の一般的事項について規定。

JISK0131 規格全文情報

規格番号
JIS K0131 
規格名称
X線回折分析通則
規格名称英語訳
General rules for X-ray diffractometric analysis
制定年月日
1996年7月1日
最新改正日
2016年10月20日
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対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

71.040.50
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
化学分析 2021
改訂:履歴
1996-07-01 制定日, 2002-06-20 確認日, 2006-11-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS K 0131:1996 PDF [20]
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K 0131-1996
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 0131-1996

X線回折分析通則

General rules for X-ray diffractometric analysis

1. 適用範囲 この規格は,X線回折装置を用いて回折X線を測定し,これによって物質の同定・定量,
格子定数の精密測定,結晶化度の測定などを行う場合の一般的事項について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0119 蛍光X線分析方法通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0215 分析化学用語(分析機器部門)
JIS Z 9101 安全色及び安全標識
JIS Z 9104 安全標識−一般的事項
2. この規格の中で,{}を付けて示してある単位は,従来単位によるものであって参考として
併記したものである。
2. 共通事項 共通事項は,JIS K 0050による。
3. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS K 0119,JIS K 0211及びJIS K 0215によるも
ののほかは,次による。
(1) 面内回転試料台 (specimen rotation stage) 試料を測定面に垂直な軸の周りに回転させることによっ
て,回折X線強度への粒径の影響を平均化する試料台。
(2) 繊維試料台 (fiber specimen stage)繊維試料やフィルムなどの配向性を測定するための試料台。通常,
試料の長手方向に垂直な軸の周りに試料を回転させる機構をもつ。
(3) モノクロメータ (monochrometor) 線の波長選択を行うための分光器。
(4) 吸収効果(X線の) (absorption effect)試料内でX線が吸収されて回折X線強度が減少すること。
結晶子の向きが特定の方向に偏り,特定の回折X線だけが強く観測
(5) 選択配向 (preferred orientation)
されること。優先配向ともいう。
格子定数などの特性値が精密に測定され,化学的に
(6) 標準物質(X線回折用の) (reference material)
安定でかつ高純度な物質で,X線の測定や分析の標準として用いられるもの。
(7) 格子定数 (lattice constants) 結晶の単位格子の大きさと形[りょう(稜)の長さとその間の角度]を
規定する定数。
X線の吸収する度合を表す係数(吸収係数)を物質の密
(8) 質量吸収係数 (mass absorption coefficient)
度で割った量。
(9) リートベルト法 (Rietveld method)粉末回折データを非線型最小二乗法で処理することによって格

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子定数や構造パラメータの最も確からしい値を求める方法。最も確からしい値を求めることを精密化
という。
X線回折が起こるための条件を与える式。
(10) ブラッグの式 (Bragg equation)
結晶の格子面を表す指数。ミラー指数ともいう。
(11) 面指数 (Miller indices)
(12) 干渉性散乱 (coherent scattering) 線が物質に入射したときに散乱されるX線で,入射X線と同じ
波長をもつ散乱。弾性散乱 (elastic scattering) ともいう。
(13) 非干渉性散乱 (incoherent scattering) X線が物質に入射したときに散乱されるX線で,入射X線より
長い波長をもつ散乱。非弾性散乱 (inelastic scattering) ともいう。
多結晶体中の単結晶微粒子。通常0.1
(14) 結晶子 (crystallite) 下で回折X線の幅を広げる効果が現
れる。
(15) 不均一ひずみ (inhomogeneous strain)結晶粒子に加えられた又は残留している応力によって,格子が
不均一にひずむこと。
多結晶体が外力によって弾性的に変形されて応力が生じ,外力が除去され
(16) 残留応力 (residual stress)
た後も多結晶体内部に残存する応力。試料表面に対して平行な方向に引っ張られたような変形を示す
場合を引張応力 (tensile stress),圧縮が加えられたような変形を示す場合を圧縮応力 (compressive
stress) という。
任意の原子を中心としたときの他の原子までの距離の分布。
(17) 動径分布 (radial distribution)
(18) 集合組織 (texture)多結晶体における結晶子の集合状態。
球面上の緯線と経線を赤道面にステレオ投影したもの。
(19) ポーラネット (polar net)
結晶の方位を表示するために結晶を球の中心に置き,結晶面
(20) ステレオ投影 (stereographic projection)
法線と球面との交点(これを極という。)を,平面に投影する方法。
試料中のある方向に垂直な面に関して特定結晶面の極の位置や密度分布をス
(21) 極点図 (pole figure)
テレオ投影したもの。
4. 装置
4.1 装置の構成 X線回折装置の基本構成の例を,図1に示す。
図1 X線回折装置の基本構成(例)
(1) 線発生部 X線発生部は,X線管球,高電圧電源及び制御部で構成する。
(1.1) 線管球 特性X線を発生し,測定に適する回折X線強度が得られる容量をもつもの。封入式管球
と開放式管球がある(1)。
注(1) これらとは別に,X線源としてシンクロトロン軌道放射光がある。
(1.2) 高電圧電源 X線管球に電圧及び電流を供給するもので,十分な容量をもつもの。
(1.3) 制御部 X線管球に印加する電圧及び電流の制御を行うもので,構成は次のとおりとする。
(a) 管電圧及び管電流の調節器
(b) 管電圧及び管電流の安定機構
(c) 安全機構
(2) ゴニオメータ部 回折X線の回折角を測るもので,十分な角度精度,再現精度をもつもの。ゴニオメ

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ータ部の光学系には,集中方式と平行ビーム方式とがある(図2)。
図2 集中方式と平行ビーム方式の光学系の一例
(2.1) 集中方式 発散スリット,試料保持部などで構成する。
(a) 発散スリット 発散X線が得られるもの。
(b) 試料保持部 試料の分析部位を集中円の円周上に保持する機能をもつもの。
(2.2) 平行ビーム方式 コリメータ又はスリット,試料保持部などで構成する。
(a) コリメータ 平行な細束X線が得られるもの。
(b) スリット 平行なX線が得られるもの。
(c) 試料保持部 試料の分析部位を入射X線上に保持する機能をもつもの。
(3) 計数・指示記録部 試料から発生した散乱X線を検出し,その中から分析に必要な回折X線を取り出
し,強度を計数する。構成は,次のとおりとする。
(a) 検出器 X線を検出し,その強度に比例したパルスを発生するもので,比例計数管,シンチレーシ
ョン計数管,半導体検出器,位置敏感形比例計数管などがある。
(b) 検出器用高電圧電源 検出器に印加する電圧を安定に供給するもの。
(c) 比例増幅器 検出器からのパルスを一定の増幅度で増幅できるもの。
(d) 波高分析器 パルスの波高の差を識別し,X線のエネルギーを選別する機能をもつもの。
(e) スケーラ パルスを計数するもので,十分な計数容量をもつもの。
(f) タイマ 定時法及び定計数法に用いるもので,高い繰返し精度をもつもの。
(g) 計数率計 X線強度を連続的にモニタできるもの(2)。
注(2) 計数率計は,備えないこともある。
(h) 表示器 記録計,プリンタ,陰極線管,ディスプレイなどを用いる。
(4) 制御・データ処理部 X線発生部,ゴニオメータ部及び計数部を制御して回折データを収集する。デ
ータに各種の補正を行い,物質の同定,定量分析,リートベルト法による結晶構造の精密化及びその
他の分析の機能を一つ以上もつものである。構成は,次のとおりとする。
(a) 制御機構
(b) データ処理部

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4.2 附属装置 分析の範囲を広げるために各種の附属装置がある。必要に応じて使用する。
(1) 加熱・冷却装置
(2) 面内回転試料台
(3) 回転振動試料台
(4) 極点図測定装置
(5) 繊維試料台
(6) 残留応力測定装置
(7) 薄膜試料測定装置
(8) 微小領域測定装置
(9) モノクロメータ
(10) 線フィルタ(K 戰 ィルタ)
(11) 試料自動交換装置
4.3 付加機能 付加機能には,次のようなものがある。必要に応じて付加される。
(1) スムージング
(2) 吸収補正
(3) ローレンツ 偏光因子補正
(4) バックグラウンド補正
(5) ピークサーチ
(6) 積分強度,ピーク高さ,半値幅,積分幅などの算出
(7) ピーク分離
(8) 繰返し測定
(9) 回折角の系統誤差補正
(10) 数え落としの補正
(11) ゴニオメータの調整
(12) 計数部の調整
(13) スリット又はスリット幅の設定
5. 試料及びその調製方法
5.1 粉体試料
5.1.1 粉体試料の粒径調整 粒径の大きい試料は,必要に応じて乳鉢などを用い手動又は専用の機械によ
って粉砕して10 下の粒径になるようにする。ただし,粉砕によって生じる化学変化,構造変化,又
は汚染の可能性については注意を要する。
5.1.2 粉体試料の試料ホルダへの充てん 試料ホルダには,金属やガラスなどの板に穴又はくぼみを付け
たものを用いる(図3)。試料ホルダに,試料を均一に,かつ,試料面が平たんでホルダの面と一致するよ
うに充てんする(3)。
注(3) 試料粉末がうまく充てんできず測定時に脱落する可能性がある場合は,少量のグリース又はの
りを用いてもよい。

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図3 試料ホルダの例
5.1.3 配向性のある試料 試料ホルダに充てんする際に,選択配向を起こしやすい試料の場合は,次のよ
うにする。
(1) 非晶質物質(4)を希釈材として試料粉末に混合する。
注(4) シリカゲル粉末などが用いられる。
(2) 回転振動試料台を使用する。
5.1.4 少量試料 試料量が少なく通常の試料ホルダに充てんできない場合には,次のようにする。
(1) 無反射試料板又はガラス板上に固定する。
(2) ガラスキャピラリーに充てんする。
(3) 溶媒に分散させ,ろ過することによって,ろ紙上に固定する。
5.2 固体試料(薄膜,棒状,板状など) それぞれの試料ごとに適切な試料ホルダを用意し,必要なら
ばコンパウンド,グリースなどを用いて支持,固定する。
薄膜の場合には,基板ごと試料ホルダに張り付け(5),また,棒状,板状の試料は,必要に応じて切断し
適当な大きさにした上で試料ホルダに固定する(6)。
注(5) 回折に寄与する薄膜内部の結晶の数を確保するために,入射角を5°以下の小さな角度に固定で
きる薄膜測定用の光学系を用いることが望ましい。
(6) 固定に使用した接着剤などの回折X線の影響にも注意を払う必要がある。
5.3 たい積粉じん及び浮遊粉じん
5.3.1 たい積粉じん
(1) たい積粉じんは75 田 して粒径をそろえる。必要な場合には,灰化処理を行う。ただし,
灰化処理によって生じる化学変化については注意を要する。
(2) 5.1に従って試料を作製する。
5.3.2 浮遊粉じん
(1) 試料をエアサンプラを用いてフィルタ上に吸引ろ過した後,フィルタ用試料ホルダに装着して測定に
供する。
なお,試料を捕集する場合,目的(7)に応じて分粒装置を用いる。
注(7) 石綿を除く吸入性粉じん(人の呼吸によって呼吸気道内に侵入,沈着する粒径範囲の粉じん)
を捕集する場合に分粒装置を用いる。
(2) 浮遊粉じん用標準試料の作製
(a) 発じん法 試料を発じん装置で発じんさせ,粗大粒子が沈降するまで数分間放置してからエアサン
プラを用いてフィルタ上に吸引ろ過して捕集する。

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