JIS B 6905:1995 規格概要
この規格 B6905は、鉄鋼及び非鉄金属からなる機械部品,ジク,工具,金型などの製品の熱処理に関する用語及び定義について規定。
JISB6905 規格全文情報
- 規格番号
- JIS B6905
- 規格名称
- 金属製品熱処理用語
- 規格名称英語訳
- Heat treatment for metal products -- Vocabulary
- 制定年月日
- 1995年3月1日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 01.040.25, 25.200
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 熱処理 2020
- 改訂:履歴
- 1995-03-01 制定日, 2000-08-20 確認日, 2005-07-20 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS B 6905:1995 PDF [12]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
B 6905-1995
金属製品熱処理用語
Heat treatment for metal products−Vocabulary
1. 適用範囲 この規格は,鉄鋼及び非鉄金属からなる機械部品,ジグ,工具,金型などの製品(以下,
金属製品という。)の熱処理に関する主な用語及び定義について規定する。
備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 用語の分類 用語の分類は,次のとおりとする。
(1) 熱処理一般
(2) 熱化学熱処理
(3) 高エネルギー熱処理
(4) 拡散浸透処理
(5) 品質・試験
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 用語欄で用語の一部に丸括弧を付けてあるものは,紛しくない場合には,括弧内の部分を省
略してもよい。
2. 用語欄で,用語の下の丸括弧の仮名書きは,読み方を示す。
3. 定義欄で,用語の後の英語は参考として示すものである。
4. 対応英語欄で,同義語は,セミコロン ( ; ) で区切ってある。
(1) 熱処理一般
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1101 熱処理 金属製品に要求される所要の性質を付与する目的で,雰囲 heat treatment
気,加熱,冷却,圧力,電磁気などの組合せによって行う処
理(1)。
注(1) IS G 0201及びJIS H 0211参照。
1111 全体熱処理 金属製品の全体にわたって行う熱処理。 bulk heat treatment
1115 部分熱処理 金属製品の特定部分について行う熱処理。 localized heat treatment ;
local heat treatment ;
partial heat treatment
1121 表面熱処理 金属製品の表面に,所要の性質を付与する目的で行う熱処 surface heat treatment
理。
1123 表面硬化(処理) 金属製品の表面層を硬化するために行う処理(2)。 surface hardening
注(2) IS G 0201参照。
1125 複合熱処理 金属製品において,複数の熱処理などの組合せによる熱処 duplex heat treatment
理。
――――― [JIS B 6905 pdf 1] ―――――
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B 6905-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1211 雰囲気(制御)熱処理 炉内の雰囲気を,目的によってそれぞれ調節して行う熱処理 controlled atmosphere heat
(1)。 treatment
備考 雰囲気には,不活性,酸化性,還元性,浸炭性,
窒化性,浸炭窒化性などのガスがある。
1221 光輝熱処理 保護雰囲気中などで熱処理することによって,表面の高温酸 bright heat treatment
(こうきねつしょり)
化,脱炭などを防止し,表面光輝状態を保持する熱処理の総
称(2)。
備考 光輝焼なまし (bright annealing),光輝焼入れ
(bright quenching),光輝焼戻し (bright tempering)
などがある。
1231 真空熱処理 真空炉中で行う熱処理の総称(1)。 low-pressure heat
treatment,
vacuum heat treatment
1241 塩浴熱処理 塩浴炉中で行う熱処理の総称(2)。 salt-bath heat treatment
(えんよくねつしょり)
1251 流動層熱処理 セラミックスなどの粒子の流動による流動層炉中で行う熱 heat treatment in fluidized
処理の総称。 beds
備考1. 流動床熱処理ともいう。
2. 流動層焼入れ (fluidized bed quenching),流動層
浸炭 (fluidized bed carburizing),流動層窒化
(fluidized bed nitriding),流動層オーステンパ
(fluidized bed austempering) などがある。
1311 焼なまし 金属の機械的性質を変化させ,残留応力の除去,硬さの低減,annealing
延性の向上,被削性の向上,冷間加工性の改善,結晶組織の
調整,ガスその他不純物の放出,化学組成の均一化などを行
うための処理(3)。
注(3) IS B 6911,JIS G 0201及びJIS W 1103参照。
備考 保護雰囲気焼なまし (protective-atmosphere
annealing),真空焼なまし (vacuum annealing),箱
焼なまし (box annealing),光輝焼なまし (bright
annealing),完全焼なまし (full annealing) などが
ある。
1315 完全焼なまし 鉄鋼製品の結晶組織を調整し,軟化するため,Ac3又はAc1 full annealing
点以上の適切な温度に加熱した後,通常は徐冷する処理(3)。
備考 非鉄金属製品の最低の強さと最上の加工性を得
るための焼なまし。
1321 (鉄鋼製品の)等温 鉄鋼製品の結晶組織を調整し,軟化を容易にするため,Ac3 isothermal annealing of
焼なまし steel
又はAc1点以上の適切な温度に加熱した後,パーライト変態
が最も急速に進行する温度よりやや高い温度まで強制冷却
し,この温度に等温変態完了まで保持してから,空冷する処
理(4)。
注(4) IS B 6911及びJIS G 0201参照。
1323 軟化焼なまし 金属の硬さを低下させ,後の塑性加工,切削加工などを容易 softening
にするための処理(4)。
備考 鉄鋼製品の軟化焼なましでは,Ac1点の上又は下
の温度に加熱した後,空冷する。
1325 低温焼なまし 軟化又は残留応力の低減のために低温度で行う焼なまし(4)。 low-temperature annealing
備考 鉄鋼製品の低温焼なましは,Ac1点以下の適切な
温度に加熱した後,通常は徐冷する。
――――― [JIS B 6905 pdf 2] ―――――
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B 6905-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1327 応力除去焼なまし 加工ひずみ又は残留応力を除去するために行う焼なまし(4)。 stress relieving ;
備考 鉄鋼製品の応力除去焼なましは,Ac1点以下の適 stress relief annealing
切な温度に加熱した後,通常は徐冷する。
1329 球状化焼なまし 鉄鋼製品の機械加工性及び冷間加工性を改善し,又はじん spheroidizing ;
(靱)性を向上するために,炭化物を球状化させる処理(4)。 spheroidizing annealing
1331 焼ならし 鉄鋼製品の前加工の影響を除去し,結晶粒を微細化して,機 normalizing
械的性質を改善するために,Ac3又はAccm点以上の適切な温
度に加熱した後,通常は空気中で冷却する処理(4)。
1333 二段焼ならし 鉄鋼製品の焼ならしと同様に行う処理で,処理後のひずみの stepped normalizing
低減を図るために,Ar′点付近の温度より更に炉冷,灰中冷
却などの徐冷を行う処理(4)。
1335 等温焼ならし 鉄鋼製品の結晶組織を調整し,軟化するために,Ac3又は isothermal normalizing
Accm点以上の適切な温度に加熱した後,パーライト変態が
最も急速に進行する温度付近まで強制冷却し,この温度に等
温変態完了まで保持した後,空冷する処理(5)。
注(5) IS B 6911参照。
1411 焼入れ 金属製品を所定の高温状態から急冷する処理(6)。 quenching
注(6) IS B 6913,JIS G 0201及びJIS W 1103参照。
備考 水焼入れ,油焼入れ,塩水焼入れ,熱浴焼入れ,
塩浴焼入れ,空気焼入れ,衝風焼入れ,ガス焼入
れ,噴霧焼入れ,噴射焼入れ,接触焼入れなどが
ある。
1413 焼入硬化(処理) quench hardening
金属製品を所定の高温より急冷して,硬化させる処理。
備考 鉄鋼の焼入硬化では,単に焼入れともいう。 treatment ;
quench hardening
1415 中断焼入れ 焼入れによるひずみの発生及び焼割れを防ぎ,かつ焼入れ後 interrupted quenching
の性質を適切に調節するために,焼入れ途中から金属製品を
引き上げ,大気中に放冷するか,又は適切な冷却剤中で冷却
する処理(2)。
備考 階段焼入れともいう。
1416 時間焼入れ 金属製品を冷却剤中で急冷して,適切な時間保持した後,引 time quenching
き上げる方法による焼入れ(2)。
1417 プレスクェンチ press quenching
金属製品で焼入れ変形が発生しないように,プレスして行う
焼入れ(2)。
1418 部分焼入れ 金属製品の特定部分について行う焼入れ(2)。 Localized quenching ;
備考 局部焼入れともいう。 selective quenching
1419 無心焼入れ 金属製品の断面中心(心部)まで硬化する処理。 through hardening
備考 心部焼入れ又はずぶ焼入れともいう。
1421 水焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,水中で冷却する処理(7)。
water quenching
注(7) IS B 6913参照。
1422 油焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,油中で冷却する処理(7)。 oil quenching
1423 熱浴焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,油,溶融塩(塩浴),溶融 hot bath quenching
金属などの熱浴中で冷却する処理(7)。
備考 溶融塩による場合を,塩浴焼入れ (salt bath
quenching) という。
1424 空気焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,空気中又は適切な送風によ air quenching
り冷却する処理(7)。
備考 送風による場合を,衝風焼入れ (air-blast
quenching) という。
――――― [JIS B 6905 pdf 3] ―――――
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B 6905-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1425 ガス焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,窒素,アルゴンなどの不活 gas quenching
性ガスで冷却する処理(7)。
1431 噴霧焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,水などの噴霧で冷却する処 fog quenching
(ふんむやきいれ) 理。
1432 噴射焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,水,油,ポリマー水溶液な spray quenching
どを噴射して冷却する処理。
1433 接触焼入れ 金属製品を所定の高温状態から,冷し金などに接触させて冷 die quenching
却する処理。
備考 冷し金とは,冷却を促進させるための金物。
1434 水溶液焼入れ 水に高分子物質を添加して,冷却速度を調節した冷却剤を用 polymer quenching
(すいようえきやき いた焼入れ(7)。
いれ) 備考 ポリマー焼入れともいう。
1435 グリコール焼入れ 焼入れにおいて,最小の熱処理変形又は低い残留応力が望ま glycol quenching
しいときに,冷却剤として,ポリアルキレングリコール水溶
液を冷却剤として使用する焼入れ(8)。
注(8) IS W 1103参照。
1437 冷却剤 焼入れに使用される水,ポリマー水溶液,油,ガス,溶融塩 quenching media ;
(塩浴),溶融金属などの総称。 quenchant
備考 水溶液焼入剤(ポリマー焼入剤) (polymer
solution),焼入油 (quenching oil),焼入ガス
(quenching gas) などがある。
1441 マルテンパ 鉄鋼製品の焼入れによる変形の発生や焼割れを防ぎ,かつ, martempering ;
適切な金属組織を得るため,マルテンサイト生成温度域の上 marquenching
部又はそれよりやや高い温度に保持した冷却剤中に焼入れ
して,各部が一様にその温度になるまで保持した後,徐冷す
る処理(2)。
備考 マルクェンチともいう。
1445 オーステンパ 鉄鋼製品の焼入れによる変形の発生や焼割れを防ぐととも austempering
に,強じん(靱)性を与えるために,Ac3又はAc1点以上の
適切な温度に加熱して,安定なオーステナイト組織にしたも
のを,変態を阻止して,そのままフェライト及びパーライト
生成温度以下,マルテンサイト生成温度以上の適切な温度範
囲に保持した冷却剤中に急冷し,その温度でベイナイトに変
態させた後,室温まで冷却する処理(2)。
1451 サブゼロ処理 鉄鋼製品の耐摩耗性の向上,経年変形などを防ぐために,焼 sub-zero treatment
入れ後直ちに0℃以下の低温度に冷却する処理(2)。
1511 焼戻し 焼入れした組織を,変態又は析出を進行させて安定な組織に tempering
近づけ,所要の性質及び状態を与えるために,適切な温度に
加熱し,冷却する処理(2)。
備考1. 鉄鋼製品ではA1点以下の温度に加熱する。
2. 低温焼戻し (low-temperature tempering,
tempering),高温焼戻し
first-stage
(high-temperature tempering),繰返し焼戻し
(multiple tempering),二回焼戻し (double
(press tempering) な
tempering),プレス焼戻し
どがある。
――――― [JIS B 6905 pdf 4] ―――――
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B 6905-1995
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1521 焼入焼戻し 鉄鋼製品をAc3又はAc1点以上の適切な温度に加熱後,適切 quenching and tempering
な冷却剤で急冷(焼入れ),ついで焼入れによるぜい(脆)
性を改善し又は硬さを調節し,若しくはじん(靱)性を増す
ために,Ac1点以下の適切な温度に加熱した後,冷却する(焼
戻し)処理(7)。
1531 (鉄鋼製品の)調質 鉄鋼製品を焼入硬化後,比較的高い温度(約400℃以上)に thermal refining
焼戻して,トルースタイト又はソルバイト組織にする処理
(2)。
1535 (非鉄金属製品の) アルミニウム合金,銅合金などにおいて,所定の機械的性質 refining
調質 などを得るために行う熱処理及び冷間加工又はその組合せ
の処理。
1611 溶体化処理 金属の合金成分が固溶体に溶解する温度以上に加熱して,十 solution treatment
分な時間保持し,急冷して,その析出を阻止する処理(9)。
注(9) IS G 0201及びJIS W 1103参照。
備考 固溶化熱処理ともいう。
1615 時効硬化処理 硬さ,強さ又は耐食性などを増進させるために適切な高温, ageing treatment ;
又はある種類の合金や質別に対しては室温で,溶体化処理 ageing ;
(固溶化熱処理)した製品を均熱保持する処理(8)。 precipitation hardening
備考 析出熱処理ともいう。 treatment ;
precipitation heat
treatment
1711 真空焼入れ 真空炉を使用して,真空又は少量の不活性ガス中で加熱後, vacuum quenching
冷却剤として,水,油又はガスで焼入れする処理。
備考 真空水焼入れ (vacuum water quenching),真空油焼
入れ (vacuum oil quenching),真空ガス焼入れ
(vacuum gas quenching) などがある。
1715 真空焼戻し 真空炉を使用して,真空又は少量の不活性ガス中で焼戻温度 vacuum tenpering
に加熱後,真空中又は不活性ガスなどで冷却する焼戻し。
(2) 熱化学熱処理
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2101 熱化学(熱)処理 thermochemical treatment
金属製品と雰囲気又は処理剤との化学反応及び熱拡散を利
用した熱処理の総称。
備考 浸炭,浸炭窒化,窒化,軟窒化,浸硫窒化などが
ある。
2211 浸炭 carburizing
鋼製品の表面層の炭素量を増加させるために,浸炭剤中で
加熱する処理(2)。
備考 浸炭剤の種類によって,ガス浸炭,真空浸炭,液
体浸炭,滴注浸炭,固体浸炭などがある。
2212 浸炭焼入れ 鋼製品を浸炭後焼入れする処理。 carburizing and
quenching
2213 直接焼入れ 浸炭又は浸炭窒化温度などから,直接に焼入れする処理。 direct quenching
2214 ガス浸炭 鋼製品を,浸炭性ガスの中で加熱し,浸炭を行う処理(10)。
gas carburizing
注(10) IS B 6914参照。
2215 真空浸炭 vacuum carburizing ;
鋼製品を,真空炉において,減圧した浸炭性ガスの中で加
熱し,浸炭を行う処理(10)。 partial pressure
carburizing ;
low pressure carburizing
2217 液体浸炭 salt bath carburizing ;
鋼製品を,液体浸炭剤(浸炭塩浴)の中で加熱し,浸炭を
行う処理(10)。 liquid carburizing
備考 塩浴浸炭ともいう。
――――― [JIS B 6905 pdf 5] ―――――
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JIS B 6905:1995の国際規格 ICS 分類一覧
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.25 : 生産工学(用語集)
JIS B 6905:1995の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB6901:1998
- 金属熱処理設備―有効加熱帯及び有効処理帯試験方法
- JISB6911:1999
- 鉄鋼の焼ならし及び焼なまし加工
- JISB6912:2002
- 鉄鋼の高周波焼入焼戻し加工
- JISB6913:1999
- 鉄鋼の焼入焼戻し加工
- JISB6914:2002
- 鉄鋼の浸炭及び浸炭窒化焼入焼戻し加工
- JISB6915:1999
- 鉄鋼の窒化及び軟窒化加工
- JISG0201:2000
- 鉄鋼用語(熱処理)
- JISG0557:2019
- 鋼の浸炭硬化層深さ測定方法
- JISG0559:2019
- 鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法
- JISG0562:1993
- 鉄鋼の窒化層深さ測定方法
- JISG0563:1993
- 鉄鋼の窒化層表面硬さ測定方法
- JISH0211:1992
- ドライプロセス表面処理用語
- JISW1103:1985
- 航空機用アルミニウム合金の熱処理